「元気になるシカ!」(藤河るり著)を読んだ

藤河るりさんのコミックエッセイ「元気になるシカ!」Kindle版を読みました。新宿の紀伊國屋書店で積んであったのを見かけてぱらぱらして気になっていて、後で買うか検討するかーと思ってたんですが、後々検索したらKindle版が見つかったのでついぽちっと……。当初卵巣のう腫と診断され、その後卵巣がんとわかって、手術・抗がん剤治療を経ていく闘病記です。

支えてくれる人がいるからこそ、前を向いて病と闘える。
「生きる力が湧いてくる」「涙なしに読めない」と
ネットで絶大な人気の婦人科がん闘病マンガが、
50P以上の未発表秘話を加えてついに書籍化。

すぐに読み通してしまったのですが、涙涙の闘病ではなく、きわめて冷静に自分のことも病気のことも描いているように読めました。シカのキャラで、抗がん剤治療中の表現がやわらいでいるというのもあるかもしれませんが……。卵巣がんと私が罹患したチョコレート嚢胞は割と近い関係にある病気だと思っているので、とても勉強になりました。

藤河さんが開腹手術を受けるまでの流れは、私が卵巣のう腫だとわかってから腹腔鏡手術を受けるまでの流れとほぼ同じでした。がんの可能性を示唆されたかされないかは大きく違いますが、卵巣のう腫/境界悪性腫瘍/卵巣がんは、実際に手術してみるまでわからない、というのが定常だそうです。チョコレート嚢胞についてはMRI検査でほぼ判別可能らしく、「ほぼ良性でしょう、一応開けてみるまでわかりませんが……」というニュアンスでしたが、それでも手術後に担当医から直接聞くまでは確定しないと覚悟はしていました。

チョコレート嚢胞は何年かおきに再発する可能性が高い病気で、かくいう私もスパンは長いものの経過観察中であることには変わりません。手術を受けたのは38歳のときでしたが、40歳を超えてチョコレート嚢胞が再発すると、がん化する確率が少し上がります。チョコレート嚢胞から卵巣がんになる確率や患者の予後については現在も研究中だそうで、私は患者の追跡調査に協力する旨の契約書に同意するサインをしています。つまりこのまま元気でいても、再発しても、再発の結果がん化しても、何かしらの形で研究の成果につながる=住所などを知らせていて問い合わせなどを受ける可能性がある、ということです。かかりつけ医の先生はちょっと申し訳なさそうにしていましたが(拒否するのも自由でした)、役に立つのであればどうぞどうぞ、とサインしました。

「私が運良くそちらにいかなかった未来」を描いてくれている「元気になるシカ!」では、卵巣がんにはっきりした原因がないことを丁寧に書いています。境界悪性腫瘍を乗り越えた麻美ゆまさんも、明確な原因は存在しないことを以前語っていらっしゃいました。チョコレート嚢胞の場合は「子宮内膜症性卵巣のう腫」という別名があるくらいで、子宮内膜症があると発生する確率が上がる、という感じだそうです。他の種類の卵巣のう腫になるともはや原因不明すぎる。漫画中では「交通事故にあったみたいなもの」と表現していてまさにこの通りなので、まめに婦人科で検査を受けるのは本当に大事だな……と思います。

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